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初心者向け・マンション売却の基礎講座

マンション売却で確定申告をすべき理由と申告の方法

マンション売却をしたら全員確定申告をしよう!

申告すべきかわからないという人も、マンションを売却したら全員確定申告をしたほうがいいと覚えておきましょう。確定申告をしないと延滞税が生じたり、得られるはずの利益が受けられなかったりすることも。確定申告の流れもあわせてご紹介します。

マンション売却時に確定申告が義務になる人・ならない人

まずは確定申告の義務について見ていきましょう。譲渡益が出ている人は所得税や住民税の計算のために確定申告が必要です。譲渡損になる人は確定申告をすることによって控除が受けられる場合があります。

確定申告の義務がある人

マンション売却によって利益が出た場合には、必ず確定申告をしなくてはなりません。ここでいう利益とは、譲渡所得がプラスになっていることです。譲渡所得は「譲渡価格-取得費-売却費用」で求められます。

確定申告の義務がない人

譲渡所得がマイナスの場合は税金がかからないため、確定申告の必要はありません。しかし、譲渡損が出ている状態で一定の条件を満たすと、所得税や住民税が安くなることがあります。確定申告の義務がなくても申告したほうがよいでしょう。

確定申告の義務のある人が申告を怠るデメリット

マンション売却で譲渡益が出た人が、確定申告を怠るとどのようなデメリットが生じるのでしょうか?結論から言うとかなりの経済的損失を被る可能性があります。期限内に忘れず確定申告するようにしましょう。

延滞税

確定申告を怠ると、発覚したときに延滞税を支払うことになります。通常よりも税額が高くなるため、損失は大きくなります。延滞税の計算式は以下のとおりです。

 

「本来納付すべき金額×延滞税の割合×日数÷365」

延滞税の割合は、2ヶ月以内に納付した場合は2.9%、2ヶ月を過ぎて納付したときは9.2%になります。

たとえば納税額が100万円として、納付期限が4月1日にもかかわらず10月1日に半年遅れで納付したケースを考えてみましょう。

・2ヶ月以内の分
1,000,000円×2.9%×61日÷365日=4,846円

・2ヶ月を超える分
1,000,000円×9.2%×122日÷365日=30,750円

合計35,596円ですが、100円未満は切り捨てのため、35,500円が延滞税として通常の税額に上乗せされます。

無申告加算税

期限内に申告を行わないと、納めるべき税額に加えて無申告加算税が課されます。無申告加算税は、納めなくてはならない税額のうち50万円までなら15%、51万円以上の部分は20%の割合を掛けて合算した金額です。税額が100万円とすると、500,000円×15%+500,000円×20%=175,000円になります。

ただし、税務調査前に自発的に期限後申告を行うと、軽減措置が受けられます。この場合の無申告加算税は納めるべき税額全体の5%です。なお、期限内に申告する意思があったと見込まれる場合には無申告加算税が課されません。

青色申告の控除額の減額

青色申告を行っている個人事業主の場合、思わぬマイナスが生じることがあります。青色申告の特別控除は65万円ですが、これはあくまで期限内に申告した人を対象に行っている制度。そのため、確定申告そのものが遅れると、65万円の特別控除がなくなってしまいます。期限内申告を行わない個人事業主に対しては、青色申告そのものが取り消されてしまうことも。所得税が10%の人だと、住民税の10%と合わせて約130,000円も税負担が増えてしまいます。

確定申告によって大きなメリットが得られる人

マンションを売って損失が出てしまったら、原則的に確定申告の義務はありません。しかし、申告することでメリットが得られることもあります。確定申告しないとメリットが享受できないので、必ず確定申告しましょう。

3,000万円の特別控除を受けられる人

売却した物件がマイホームであれば、3,000万円の特別控除が利用できます。これは、利益が出ていても3,000万円以内であれば、税金がかからないようにするというもの。利益が出ているので、もともと確定申告が必要なケースですが、この特例を受けるためにも確定申告が必要なのです。「特例を使えば税金がかからないから、確定申告をしなくていい」というわけではありません。

3,000万円の特別控除を受ける場合、課税される譲渡所得は以下の式で求められます。

「譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用-3,000万円」

この特別控除によって税金が軽減されるので、マイホームなど条件を満たす人は必ず確定申告しておきたいところです。

特別控除なしでも損失が出ている人

マイホームの売却によって譲渡損が生じた人で、一定の条件を満たす場合には、給与から天引きされていた所得税が戻ってきます。この特例を受けるためには、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるマイホームであること、買い換えのための売却であることが必要です。この特別控除では、売却によって発生した損失を3年間にわたって、給与所得などと損益通算することができます。たとえば給与所得が400万円として、譲渡損が400万円とすると、相殺されて所得税と住民税がかからなくなるのです。

またマイホームを買い換えず、売却しただけのケースでも、住宅ローンが残っていれば、「住宅ローン残高-譲渡価額」を限度として損益通算することができます。

確定申告の義務のない人が申告するメリット

先ほども説明したように、譲渡損が出ていたら確定申告を行う義務はありません。しかし、確定申告することでメリットが得られるケースがあります。基本的に、確定申告をしなくて困ることはあっても、確定申告をして困ることはないと覚えておきましょう。

所得税と住民税の減税

売却して譲渡損失が生じたら、この取引に対する所得税や住民税はかかりません。そのため、確定申告する必要もないのです。しかし、特定の条件を満たす場合には、売却で生じたマイナスを給与所得や事業所得のプラスから引くことができます。確定申告しないと、この特例は使えません。

また、給与所得から譲渡損が引ききれない場合には、3年にわたってマイナスを繰り越すことができます。所得税と同様に住民税も軽減されるため、必ず確定申告しておきましょう。

税務調査のリスク対策に

確定申告が不要なケースでも、確定申告をしないことで税務署から問い合わせがくることがあります。これはマンション売却が行われたことがすでに知られているからです。譲渡所得がマイナスになっていることが証明できれば問題ないのですが、問い合わせに対応するのはわずらわしいもの。しかし期限内に確定申告しておけば、このような問い合わせが来ることはありません。

確定申告の流れ

確定申告というと面倒くさいイメージがあるかもしれませんが、慣れてしまえばそれほど大変なことではありません。税務署に問い合わせれば親切に教えてもらえるので、正しい申告方法を学んでおきましょう。

必要な書類の収集

確定申告は例年2月中旬~3月中旬が申告期間です。マンション売却を行った翌年のこの時期に申告することになります。あらかじめどのような書類が必要なのか調べて、手元に準備しておきましょう。

申告書の入手

申告書は税務署に行けばもらえます。申告書コーナーから必要な書類を持ち帰りましょう。ただし、最近はインターネットを使った申告が主流です。そのため、必ずしも申告書が必要とは限りません。

申告書の提出

申告書は手書きでも構いませんし、インターネットの申告書作成ページで作成して印刷しても構いません。税務署の申告会場に行けば電子申告ができます。職員さんに相談することもできるので、こちらの方法がおすすめです。

譲渡損失が生じたときの確定申告

マンションを売却して、損失が出たときの確定申告は、通常の確定申告とは少し違う部分もあります。そこで、ここからは譲渡損失が生じたときの確定申告について説明しましょう。

売却するマンションの譲渡による所得が長期譲渡所得の場合、損益通算の特例が適用されます。長期譲渡所得とは、譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える土地または建物の譲渡による所得のことです。

さらに損益通算を行っても譲渡損失が残る場合は、譲渡の年の翌年以後3年以内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。かなり大きな節税効果があるため、マンション売却の際には、この条件に当てはまるかどうかをしっかり確認しましょう。

この特例は、特例の適用要件や、適用されない場合など少々条件が複雑ですので、順番に解説します。

マイホームを売却した所得が長期譲渡所得であり、譲渡損失が生じた場合

住宅ローンが残っているマイホームを売却して、譲渡損失が生じたときには、ある一定の条件を満たした場合に限り、損益通算できます。損益通算とは、譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除することです。

<特例の適用要件は4点>

この特例が適用される「ある一定の条件」とは以下の4点です。この4点すべてを満たした場合に限り、損益通算および繰越控除の特例は受けられます。

(1) 自分自身が住居として使っているマイホームを譲渡する必要があります。以前に住んでいたマイホームなら、引っ越してマイホームを変えた日から3年目の12月31日までに譲渡することが条件です。例えば、2013年の3月25日に引っ越したなら、2015年の12月31日までに譲渡していなくてはなりません。この譲渡は、譲渡所得の基因となる不動産などの貸付も含まれますが、親族等への譲渡は除外されます。ただし、マイホームとして使用していた家屋を取り壊した場合は、さらに次に紹介する3つの要件「すべて」に当てはまっていなくてはなりませんので気をつけましょう。

  • 取り壊した家屋のあった敷地は、家屋取り壊し日の属する年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えていること。 (例)取り壊した日が2016年3月1日の場合、マイホームの購入日が2016年1月1日時点で考えて2011年1月1日よりも前
  • 取り壊した家屋のあった敷地を譲渡するという契約が、家屋取り壊し日から1年以内に締結されていて、さらに住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却すること。
  • 家屋取り壊し日から譲渡契約締結日までの間に、取り壊した家屋のあった敷地を駐車場経営など別の使い方をしていないこと。

(2) 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホームであり、なおかつ日本国内の土地の譲渡であること。

(3) 譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、住宅ローンが10年以上残っていること。

(4) マイホームの譲渡価額が上記(3)時点の住宅ローン残高をよりも少ないこと。

<特例の適用要件を満たしていても適用除外される場合>

特例の適用要件4点を満たしていたとしても、特例の適用が除外される場合もあります。その条件も紹介しましょう。

(1)繰越控除が適用できない場合
合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合は、その年のみ適用できません。所得金額とは、収入金額から必要経費を差し引いたものです。給与所得の場合は、会社から支払われた支給金額から、社会保険料や基礎控除、配偶者控除などを諸々差し引いた金額になります。

(2)損益通算と繰越控除の両方が適用できない場合
繰越控除だけでなく、損益通算もできない、という場合もあります。その例は大きく分けて4点なのですが、かなり細かいのでしっかり見ていきましょう。

・親子や夫婦など特別の関係がある人に対してマイホームを売却した場合、ここでいう「特別の関係がある人」の範囲は以下の4パターンです。

  • (A)生計を一にする親族
  • (B)家屋を売却した後その売却した家屋で同居する親族
  • (C)内縁関係にある人
  • (D)特殊な関係にある法人

・マイホームを売却した年の前年および前々年に次の特例を適用している場合、マイホームを売却した前の年およびその前の年に、別の特例を受けている場合も損益通算と繰越控除の両方が適用できません。具体的には以下の特例です。

  • (A)居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例(措法31の3)
  • (B)居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除(措法35)
    (「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除く)
  • (C)特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)
  • (D)特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)

(3)マイホームを売却した年の前年以前3年以内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額について、今回紹介している特例をすでに適用している場合、 今回の特例について、時期を重ねる形で同じ特例は受けられない、と覚えておくと良いでしょう。

(4)マイホームを売却した年またはその年の前年以前3年内における資産の譲渡について、同じ特例は併用できません。ただし、本特例と住宅借入金等特別控除制度は併用可能です。

<特例の適用手続>

ここまでで、今回のマイホーム売却が紹介している特例に当てはまることが確認できたら、特例の適用手続きについても確認していきましょう。損益を通算する場合と、繰越控除の場合に分けて説明します。

[損益を通算する場合]

  • (A)「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)」
  • (B)「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5の2用)」
  • (C)売却したマイホームに関する次の書類
    • 登記事項証明書や売買契約書の写しなど(所有期間が5年を超えることを明らかにするもの)
    • 譲渡資産に係る住宅借入金等の残高証明書(売買契約日の前日のもの)
  • (D)マイホームの売買契約日の前日時点で、そのマイホームを売った人の住民票に記載されていた住所とそのマイホームの所在地とが異なる場合などは、そのマイホームを売った人が実際にそのマイホームに住んでいたことを明らかにできる以下のいずれかの書類
    • 戸籍の附票の写し
    • 消除された戸籍の附票の写し
    • その他これらに類する書類

※(C)登記事項証明書は、登記所の窓口での請求、郵送による請求だけでなく、インターネットからの請求も可能です。

(法務局:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/online_syoumei_annai.html

[繰越控除の場合]

この特例が適用される「ある一定の条件」とは以下の4点です。この4点すべてを満たした場合に限り、損益通算お繰越控除を受けるには、以下のいずれかを行う必要があります。

  • (A)損益通算の適用を受けた年分について、「損益を通算する場合」で説明したすべての書類の添付がある期限内申告書を提出済
  • (B)損益通算の適用を受けた年分の翌年分から繰越控除を適用する年分まで、連続して損失申告用の確定申告書を提出する

<この手続きはインターネットを使った申請も可能>

この特例が適用される「ある一定の条件」とは以下の4点です。この4点すべてを満たした場合に限り、損益通算おマイホーム売却の際に出た譲渡損に関する確定申告をする場合も、通常の確定申告と同様に、インターネット上からの確定申告書を作成することができます。確定申告書を作成していく中で、必要な書類が明示されますので、そちらも参照してそろえる書類に漏れがないか確認すると良いでしょう。

<参考資料>

「国税庁 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3390.htm

「国税庁 確定申告コーナー 土地建物等の譲渡 マイホームの売却による譲渡損編」
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2012/kisairei/joto/pdf/joto-3.pdf

確定申告に必要な書類

確定申告には書類が必要です。どのような書類が必要なのかチェックしておきましょう。書類によってはコピーを作成する必要があります。以下を参考に漏れのないように準備してください。

必要書類一式

必要書類は人によって異なりますが、主なものは以下のとおりです。

  • 譲渡所得の内訳書
  • 申告書第三表(分離課税用)
  • 確定申告書B様式
  • 売却時の売買契約書(コピー)
  • 売却した不動産の購入時の売買契約書(コピー)
  • 仲介手数料等、売却手数料の領収書(コピー)

 

マンション売却の確定申告

マンション売却の確定申告に際して、作成する必要のある書類は以下の3種類です。

・譲渡所得の内訳書
売った不動産の内容や、利用状況、売買契約日を記入。譲渡価格や取得費、購入年月日について記載し、これによって譲渡所得を算出します。

・申告書第三表(分離課税用)
不動産の譲渡所得は分離課税です。ここに譲渡所得の内訳書で求めた譲渡所得を記入します。

・確定申告書B様式
最終的な税額は申告書Bに記載します。

記入方法や税率、計算方法については、税務署でもらえる手引きに載っています。しかし、初めての確定申告で手書きするのはかなり難易度が高いもの。税務署の申告会場に行って、電子申告したほうがよいでしょう。家で作成する場合は、国税庁ホームページの申告書作成コーナーを利用すのもおすすめです。

確定申告の計算方法

マンション売却時の所得の計算式

最後に、マンション売却時の譲渡所得の計算について説明します。「マンションを買ったときに3,000万円だったのが、3,000万円で売れたからプラスマイナスゼロ」と思われがちなのですが、そうではありません。先ほども述べたように、譲渡所得は以下の式で求められます。

「課税譲渡所得=譲渡価額(売却額)-取得費-譲渡費用」

それぞれの費用の求め方を見ていきましょう。

取得費

取得費とは、売却した土地や建物の購入価額です。購入価額は土地と建物の本体価格だけでありません。仲介手数料や印紙税、登録免許税、不動産取得税、建物等の取り壊し費用や立退料も含めることが可能です。

減価償却費

建物の取得費からは、減価償却費を引きます。建物は時間の経過に伴って価値が下がっていくものです。減価償却費の計算方法は建物の種類や取得目的によって異なります。たとえば3,000万円で購入した物件でも、減価償却費を引くと2,500万円の取得費になるという具合です。

譲渡費用

譲渡費用は売却のために要した費用です。売却の際の仲介手数料や、広告費、印紙税、立退料、建物等の取り壊し費用が含まれます。領収書が必要になるので、必ず保管しておきましょう。

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